福岡地方裁判所 平成5年(わ)149号 判決
主文
被告人有限会社清翔開發を罰金一五〇〇万円に処する。
被告人韓鳳澤を懲役一年二月及び罰金一三〇〇万円に処する。
被告人韓鳳澤においてその罰金を完納することができないときは、金四万円を一日に換算した期間、同被告人を労役場に留置する。
被告人韓鳳澤に対し、この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(犯罪事実)
第一 被告人有限会社清翔開發(平成三年一月二一日以前の商号は有限会社進栄物産、代表取締役は昭和六二年七月二八日から平成三年一月二一日までは清水次郎こと韓鳳澤、同日以降は清水徳俊こと韓徳俊)は、北九州市小倉南区八重洲町一一番五号に本店を置き、福岡県行橋市西宮市一丁目一二番七号所在のパチンコ店「ポパイ」を経営するもの、被告人清水次郎こと韓鳳澤は、昭和六二年七月二八日から平成三年一月二一日までは被告会社の代表取締役、同月二二日以降は同会社の実質的経営者として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上金の一部を除外し、仮名定期預金を設定するなどの方法により所得を秘匿した上
一 昭和六三年一一月一日から平成元年一〇年三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三四二九万六五五六円(別紙(1)修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、右法人税の納期限である平成二年一月四日までに北九州市小倉北区萩崎町一番一号所轄小倉税務署長に対し、法人税確定申告書を提出しないで右期限を徒過し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における法人税額一三三七万五二〇〇円(別紙(7)脱税額計算書参照)を免れ
二 平成元年一一月一日から平成二年一〇月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五四八五万三六六七円(別紙(2)修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成三年一月四日、前記小倉税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が八八五万五四六七円でこれに対する法人税額が二六〇万三二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額二一〇〇万二四〇〇円と右申告税額との差額一八三九万九二〇〇円(別紙(8)脱税額計算書参照)を免れ
三 平成二年一一月一日から平成三年一〇月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が六九三九万四五二六円(別紙(3)修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成四年一月六日、前記小倉税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が六九五万九五二六円でこれに対する法人税額が一九一万九八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額二五二三万四一〇〇円と右申告税額との差額二三三一万四三〇〇円(別紙(9)脱税額計算書参照)を免れ
第二 被告人清水次郎こと韓鳳澤は、北九州市戸畑区浅生二丁目八番一六号において、パチンコ店「ポパイ」を経営していたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上金の一部を除外し、仮名定期預金を設定するなどの方法により所得を秘匿した上
一 平成元年分の実際所得金額が五〇五一万八五四五円(別紙(4)修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成二年三月一五日、前記小倉税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が二一三五万八五四五円で、これに対する所得税額が六一七万五〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額二〇七五万五〇〇〇円と右申告税額との差額一四五八万円(別紙(10)脱税額計算書参照)を免れ
二 平成二年分の実際所得金額が七七七七万六五八六円(別紙(5)修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成三年三月一五日、前記小倉税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が一八二一万六三九二円で、これに対する所得税額が四七六万七四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額三四二八万七五〇〇円と右申告税額との差額二九五二万一〇〇〇円(別紙(11)脱税額計算書参照)を免れ
三 平成三年分の実際所得金額が三〇五三万六六〇五円(別紙(6)修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成四年三月一六日、前記小倉税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が一三〇五万三八九五円で、これに対する所得税額が二七二万二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額一〇五五万七七〇〇円と右申告税額との差額七八三万七五〇〇円(別紙(12)脱税額計算書参照)を免れ
たものである。
(証拠)(括弧内の記載は、検察官請求証拠番号の略である。)
判示事実全部について
一 被告人韓及び被告人会社代表者の公判供述
一 被告人韓(乙1ないし4、乙6ないし12)及び被告人会社代表者の各検察官調書(二通)
一 清水幸恵こと韓幸恵、黒瀬謙二、佐々木祐子、山口一巳の各検察官調書
判示第一の事実について
一 査察官調査書(甲1ないし5)
判示第二の事実について
一 被告人韓の検察官調書(乙5)
一 査察官調査書(甲6ないし11)
(法令の適用)
罰条
判示第一の事実につき
被告人韓鳳澤 法人税法一五九条一項、二項
被告人有限会社清翔開發 法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項
判示第二の事実につき 所得税法二三八条一項、二項
刑種の選択(被告人韓)
判示第一の罪につき 懲役刑
判示第二の罪につき 懲役刑及び罰金刑
併合罪の処理
被告人韓 懲役刑につき 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第二の二の罪の刑に加重)
罰金刑につき 刑法四八条二項
被告人有限会社清翔開發 刑法四五条前段、四八条二項
労役場留置(被告人韓) 刑法一八条
刑の執行猶予(被告人韓の懲役刑) 刑法二五条一項
(量刑の理由)
本件は、パチンコ店を経営する被告会社の代表取締役あるいは実質的経営者であり、また、自らも個人でパチンコ店を経営する被告人韓が、売上除外の方法で所得隠しを行い、被告会社について三事業年度で合計五五〇八万円余、被告人韓について三期で合計五一九三万円余の脱税をした事案であるが、被告会社及び現在は被告会社の経営権を譲り渡した長男の将来の不安に備えて法人税及び所得税をほ脱したという事情はうかがえるものの、そのことにより国民の当然の義務である納税義務を免れることが何ら正当化されるものではなく、動機に酌量すべき点はないのみならず、前記ほ脱税額が高額であること及び被告会社のほ脱税率が約九二パーセント、被告人韓のほ脱税率が約七九パーセントと高率であることに鑑みれば、本件における被告人らの責任は重大であるといわなければならない。
しかし、他方、被告会社は修正申告により、既に六一二四万円余の追加納税をなし、同じく被告人韓は、四九二三万円余の追加納税をなしている上、重加算税総額六四〇〇万円についても税務当局との間で分割払いの約定が交わされ、今後履行されるものと考えられること、被告人韓には、罰金前科があるのみで、懲役刑に処せられた経験はないこと、被告人韓は、本件を反省した上、今後は、被告会社の経営は長男に委ね、自らは関与しないと述べていることなど被告会社及び被告人韓に有利な事情も存する。
これらの被告会社及び被告人韓にとって有利不利な一切の事情を総合考慮して主文のとおり刑の量定をした。
(裁判長裁判官 仲家暢彦 裁判官 洞雜敏夫 裁判官 中園浩一郎)
別紙(1)
修正損益計算書
<省略>
別紙(2)
修正損益計算書
<省略>
別紙(3)
修正損益計算書
<省略>
別紙(4)
修正損益計算書
<省略>
修正損益計算書
<省略>
修正損益計算書
<省略>
別紙(5)
修正損益計算書
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修正損益計算書
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別紙(6)
修正損益計算書
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修正損益計算書
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別紙(7)
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別紙(8)
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別紙(9)
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別紙(10)
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別紙(11)
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別紙(12)
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